ハチに刺されると、その毒のために激しい痛みを感じるとともに患部が赤く腫れます。

しかしそれ以上に怖いのは「アナフィラキシーショック」です。

アナフィラキシーは、発症後きわめて短時間のうちに全身に起こるアレルギー症状で、じんましんや息苦しさ、腹痛や嘔吐などの症状が現れます。特に急激に血圧が低下して意識障害などのショック症状を起こすものがいわゆる”アナフィラキシーショック”で、命にもかかわる危険な状態です。

もしも蜂毒にアレルギーがあると、刺された人の1割~2割の人が、全身のじんましんや嘔吐、浮腫、呼吸困難などのアナフィラキシー症状を起こし、そのうち数%はアナフィラキシーショックを起こすとされています。日本では年間20人程度の人がハチに刺されたことによるアナフィラキシーショックで亡くなっています。

このようにとても怖いハチ毒のアナフィラキシーショックですが、「ハチにさされても1回目は大丈夫」と誤解している方が多いようです。

アレルギー症状の多くは、体内に原因物質が入って抗体ができたあと、この抗体にアレルギー物質が反応して、細胞の中からヒスタミンといった化学物質が一気に放出されてかゆみなどの症状があらわれます。

そのため1度もハチに刺されたことがなければ体内にハチ毒の抗体がないので、「刺されても1回目であればアレルギー症状を起こすはずがない」という誤解を生んでいるのでしょう。

実はハチの毒には、毒そのものの中にヒスタミンが少量含まれています。このため一度に多量の毒が体内に入った場合、初めての蜂刺されでもアレルギーのような症状を起こすことがあるのです。

ハチに刺されて死亡するのは、複数回刺された場合よりも、初めて刺されたケースの方が多いという報告もあります。

スズメバチは(アシナガバチやミツバチも)1回刺されただけで十分に危険です。

「1回目なら大丈夫」という間違った根拠でハチへの用心を怠ることは決してないようにしてください。

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