ハチの巣の駆除でお伺いすると、「巣を作られないように予防する方法はありませんか?」というご質問をよくいただきます。

正直に言うとこうすれば確実に予防できるという決定打はありませんが、いくらかでも効果が期待できる方法をご紹介します。

ポイントは、春に冬眠から覚めた女王バチが巣作りを始める前に、女王バチをおびき寄せて駆除してしまうか、女王バチを寄せ付けなくして巣を作らせないということです。

ハチトラップで女王バチをおびき寄せる

ハチを引き寄せる効果のある誘引剤を使ったトラップを仕掛けて、女王バチを駆除する方法です。

ホームセンター等で「スズメバチ用誘引捕獲機」といった名称で売られているほか、ペットボトルを加工して簡単に自作も可能です。

原理はとても簡単で、お酒や酢、砂糖、ジュースといったハチの好む材料で誘引剤を作ります。これをペットボトル等の容器に入れてハチをおびき寄せます。容器にはハチが中に入ったら出られないような加工をしておきます。これでハチを捕まえる仕組みです。

自治体によっては、ホームページにハチトラップの作り方を掲載して紹介しているところもあります。
例)広島市

ハチトラップの注意点としては、春先から5月ごろまでに冬眠から覚めた女王バチを捕らえる目的で使用することです。

女王バチは、前年の秋に巣を飛び立ってオス蜂と交尾したあと、木のうろなどに潜り込んで冬眠に入ります。そして春に冬眠から目覚めてたった1匹で巣作りを開始します。この時期、巣作りの場所を探して飛び回っている女王バチをトラップで駆除すれば巣をつくられる可能性はだいぶ少なくなるというわけです。

ところが、働きバチが飛び始める6月以降もトラップを仕掛けると、確かに働きバチは捕獲できるのですが巣そのものを駆除する効果までは期待できません。逆に遠く離れた地域からハチを呼び寄せてしまうことになりかねません。

ハチがとれるからといって夏の間もぶら下げておくと、実は他のハチを呼び寄せるリスクになるので注意が必要です。

木酢液で寄り付かなくさせる

木酢液(もくさくえき)というのは、炭を焼くときに発生した煙を冷やして液体にしたものです。液体は茶色で、燻製のような香りがします。アブラムシ等の病害虫から植物を守ったり土壌改良の効果があるとしてホームセンター等で一般的に売られています。

スズメバチもこの木酢液の臭いを嫌うことがよく知られています。

そこで春先に女王バチが巣を作りそうな場所に木酢液を散布しておくことで、女王バチが寄り付かなくなり巣を作らなくさせる効果が期待できます。原液の品質や濃度にもよりますが一般的には水と木酢液を1:1の割合で薄めて使用するのがよいといわれています。

木酢液のデメリットとしては、ツンとするような独特な刺激臭があることです。スズメバチを寄せ付けない効果があるからといって家や庭全体に散布すると、人によっては不快と感じることもありそうです。

また殺虫効果があるわけではないので、すでにできてしまった巣に散布しても駆除は期待できません。

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