戻りバチとはどういうものか

まずは戻りバチというのはどういうものか。放っておくとどうなるかを解説します。

働きバチは日中、幼虫を育てるエサにするために他の虫の狩りをしたり、巣の材料を集めに外出しているものがいます。
巣を駆除した後、外出中の働きバチが戻ってきたものを「戻りバチ」といいます。

他の場所から引っ越し中の巣などを除いて、基本的に巣の中には女王バチがいるので、的確に巣の本体を駆除すれば女王バチも駆除できています。働きバチを産むのは女王バチだけなので、女王バチを駆除すれば、基本的にはそのコロニーはお終いです。

ですが戻りバチの数が多いと、戻りバチだけで巣を再生することがあります。そして働きバチのなかから女王バチに変化して、卵を産み始めるものが出てくることがあります。

そのままどんどん数が増えて巣が大きくなるかというと、実は決してそんなことはありません。

「働きバチを産むのは女王バチだけ」と言いましたが、働きバチから女王バチ化したハチは、オス蜂と交尾していないので受精卵を産むことができず、そうすると生まれてくるのはオス蜂だけになってしまうのです。(自分のクローンを産んでいるようなものです)

働きバチの寿命は1か月程度なので次第に数が減っていきます。一方、新しく生まれてきたオス蜂は幼虫の世話をいっさいしませんので、戻りバチが再生した巣も早晩終焉を迎えてしまうのです。

放っておいてもいずれ死に絶えるとはいえ、駆除したはずの巣が再生するのはやはり気持ちの良いものではありません。

巣の本体を駆除したあとは、戻りバチ対策もしっかり行っておきたいものです。

戻りバチの駆除方法

戻りバチは巣のあった場所を覚えていて、周辺を飛びまわったり、近くに停まったりします。それに向けて殺虫スプレーを噴射してもよいですが、スプレーの量も消費しますし、その場で待機してスプレーをかける労力もいります。

そこでおすすめなのが、ネズミ駆除用に市販されている粘着シートです。

この粘着シート、本来はその強力な粘着力でネズミを捕獲するためのものですが、スズメバチもぺたぺた強力にくっつけて捕まえてくれます。

<粘着シートの使い方>

①周辺を飛んでいたり巣の近くに停まっている戻りバチを、1匹だけでいいので粘着シートにくっつけて生きたまま捕まえる。戻りバチは比較的無防備というか警戒心が少ないので、粘着シートを振り回したりするだけでそれほど苦労せずに捕まえることができます。※防護服は必ず着用して刺されないようにしてください。

②ハチがくっついた粘着シートを、ガムテープ等を使って巣のあったところに吊り下げたりして固定する。

行う作業はたったこれだけです。

粘着シートに絡めとられたスズメバチは激しく羽を唸らせて必死に逃れようとしますが、その際自分が敵に襲われていることを示す攻撃ホルモンを出しています。すると仲間のハチはその攻撃ホルモンの臭いを察知して、攻撃に参加しようと自分から次々粘着シートに降り立ってくっついてしまいます。

営巣が盛んな9月頃ですと、ネバネバに捕まった戻りバチで粘着シートがあっという間にいっぱいになってしまうほどです。

粘着シートをぶら下げておくだけで、殺虫スプレーを無駄に消費することもなく、労力もかからないとても効率的な方法です。

シートにくっついたスズメバチは死んだように見えても触れると反射的に刺してくることがあります。殺虫スプレーで完全に殺してから、シートは自治体の規則に従って処分してください。

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